オレンジ色

雑談とか日常思ったこととか

昔の事を思い出そう

何か、語れるようなストーリーがあるか、探してみようと思った。

今に至る話じゃなくて、当時の話。

 

大学に入る前の恋バナでも語ろうかな。

 

高校3年生のとき、付き合ってた子がいた。

初恋だったなぁ。はじめて、人を好きになった。

それまで、憧れたことはあったけれど、好きとはちょっと違ってた。

 

好きになるって、不思議な感覚だった。

いつまでも一緒にいたくて、抱きしめたくて、

受け入れてもらいたくて、力になりたくて、心臓に心を感じた。

 

でも、

支えになれない自分に失望して、

自分以外の人が支えているのを見て嫉妬した。

 

支えたいと願う感情は持っていたけれど、

支えるための共通経験は、持っていないものだったから。

 

彼女は、両親と問題を抱えていた。

父母ともに浮気を隠していて、母はヒステリー持ちで娘が嫌いのようだったらしい。

いざこざになったら包丁が出てくる程度には、家庭崩壊していたみたい。

 

俺には、想像ができない世界だった。

こんなに近くにいるのに、遠い世界のできごとに感じた。

 

だから俺は、

「わからない」

と言った。

 

わかることなんてできない。俺の家族は円満だから。

そうやって、暗に自慢した。

 

彼女は、俺に相談しなくなった。遊びにいったりはしていたけれど、

つらいときは、わかってもらえないと思ったんだろう。

 

同じように家庭崩壊していた俺の友人に相談するようになった。

その二人は、互いになんとも思っていないからこそ、

互いに傷つけてもいい存在だったんだろう。

 

彼女は、俺のことを好きでいてくれてたらしい。

でも俺は、盗られたと感じていた。

彼女の負の感情を支えたいと思っていたのに、

その役割は奪われた。

 

「俺じゃ、ダメか?」

 

何度もわかろうとした。

もしかしたら俺の家族にも、家庭崩壊の兆しがあるんじゃないかと願った。

俺の家族は、絵に描いたような幸せ家族だったから、

それゆえに、俺は家庭環境がもっと壊れればいいのに、とも思った。

でも、単なる思考実験に過ぎなかった。

俺の家庭にも些細ないざこざがあるんだよ、と語っても、

今思うと、恋人同士の痴話喧嘩を聞かせているようなものだったのかもしれない。

 

受験勉強の最中、俺はどうやればわかることができるのか、

俺の友人に奪われた役割を、どうやれば取り返せるのか、

そればかり考えていた。

 

「優しいね」

そう言われるのが辛かった。

俺の優しさは、はき違えた優しさだと自覚していたから。

彼女が求めてる理解に、俺は届こうとがんばった。

でも、遠すぎて届かなかった。

彼女の理想の世界を俺は知っていたけれど、

彼女の現実の世界を俺は知らなかったんだ。

離れすぎた経験が、深い溝を作り出していた。

 

いつから終わりだったのかわからないけれど、

彼女は俺の前から姿を消した。

高校3年の冬。お互いに受験期真っ只中。

12月末くらいから、連絡をあまりとらなくなってきていた。

当時の俺は、クリスマスは彼女と過ごす、という常識を知らず、

何のイベントも用意しなかったからちょっと拗ねてるだけなのかもしれない、

と淡い期待をしていた。

 

正月にも会わなかった。実家で連絡をたまに取り合う程度。

その後、連絡が来なくなった。

受験と家族と、両方の問題があったのかもしれない。

俺にはわからない。

 

センター試験を受け終えて、久しぶりに連絡してみた。

返事はそっけなかった。おつかれさま、のひとこと。

 

受験が終われば、もとに戻れるかも、と淡い期待をしていた。

でも、受験が終わったこと、結果が合格だったこと、

何一つ連絡をもらえなかった。

2月の末、そろそろ彼女の結果は出ているんじゃないか?と思って、

合格発表日を調べてみた。

1週間前だった。

 

あぁ、もう俺に連絡するつもりはないんだなと。

そう思った。

こみ上げるものがあった。

「学校は違うけど、一緒に東京の大学行こう!」

昔した約束が、心のなかでこだました。

 

最後の希望として、俺の受験が終わるまで、

連絡しないようにしているだけかと期待した。

思い込もうと思っただけだけれど。

もしかしたら、俺が受かったら戻ってきてくれるんじゃないかって。

だから、受験当日は集中できた。

 

受からなきゃ、戻ってきてくれる見込みはない。

そう信じてた。

 

妄想も信じれば、心強いやる気へ変化して、

俺は無事合格できた。

 

彼女から、連絡はなかった。

 

もう、いいや。

 

期待するだけしんどいから、全て捨てよう。

 

俺は高校の頃の人格を捨てていた。

大学生活なんて、希望のカケラもなかった。